News
ニュース

「OMF 室内楽勉強会〜リートデュオ〜」奥志賀マスタークラス 一般公開のお知らせ

リートの世界的権威 白井光子氏を講師に迎えて、長野県奥志賀高原で約1週間にわたり合宿を行う「OMF室内楽勉強会〜リートデュオ〜」。奥志賀高原ホテル森の音楽堂で開催するマスタークラス及び、成果発表リサイタルの模様を公開いたします(無料/予約不要)。貴重な指導の模様&若き音楽家たちの成長をぜひ会場でご覧ください!

日程 2023年
8月10日(木)〜8月16日(水)マスタークラス 全日9:00〜12:00 / 14:00〜18:00(予定)
8月17日(木)15:30〜リサイタル
会場 奥志賀高原ホテル 森の音楽堂(長野県下高井郡山ノ内町奥志賀高原)

「OMF室内楽勉強会〜リートデュオ・リサイタル〜 」出演者の情報はこちらから

2022_Lied Duo Recital in Okushiga_R308828(C)大窪道治_2022OMF.JPG

Lied-artists.jpg

8月5日(土)は松本城に集合!お城 de ハーモニー開催

OMFの到来を告げるオープンイベントの一つ、歓迎演奏会「お城 de ハーモニー」が8月5日(土)10時30分より、松本城公園で行われます。毎年恒例、SK松本合唱団SK松本ジュニア合唱団によるコンサート。美しく迫力ある歌声にご期待ください。

暑い中の開催が予想されます、暑さ対策を万全にご来場ください!

◼️歓迎演奏会「お城 de ハーモニー
8月5日(土)10時30分~11時30分(予定)
松本城公園
※雨天中止

2023お城deハーモニー_チラシ.jpg

2023OMF お城 de ハーモニー チラシ.pdf

白井光子(メゾ・ソプラノ)インタビュー

セイジ・オザワ 松本フェスティバル(OMF)では毎年、小澤征爾総監督の理念のひとつでもある若い音楽家の育成に力を注いでいます。2023年は昨年に引き続き、「OMF室内楽勉強会」にリート歌手として世界的権威であるメゾ・ソプラノの白井光子氏を講師として招き、歌手とピアニストのための「リートデュオ勉強会」を奥志賀高原にて開催いたします。

img_artist-mitsuko_shirai.jpgのサムネイル画像

白井光子氏はハルトムート・ヘル氏と共に「歌と伴奏」という概念を超えた「リートデュオ」としての活動を世界各地で精力的に行い、これまで多くの歌手がその薫陶を受けてきました。 当勉強会では、受講生たちは合宿形式にて約1週間の徹底した指導を受け、その成果を披露する場として奥志賀高原と松本市にて2回の発表会を開催いたします。

コロナ禍の影響により、オーディション受講生募集は2019年以来の4年振りとなりました。これまでよりも応募可能な年齢の幅を広げ、また映像のみでの応募も可能としたオーディションには、国内外から多数の応募を頂きました。この中から総勢6組の受講者が決定した2023年6月、ドイツ自宅よりリモートインタビューに答えていただきました。

───「OMF室内楽勉強会~リートデュオ~」は2005年に始まり、今回で6回目となりました。

小澤さんからお話を頂いてこの講座を始めた当初は、弦楽の人たちと一緒に勉強会をしていたので、みんなでわーっと集まって、グループで楽しく勉強する感じだったんです。お互いのレッスンを見に行ったり、交流があったりして、それも楽しかったですね。最近はリートの勉強会だけの開催なので、生徒たちはそれぞれ集中した学びができていると思います。

会場の「森の音楽堂」は素晴らしいホールで、全ての音が聴こえてきて、とてもレッスンがしやすいんですよ。近隣の宿泊施設のご協力もあって、練習場所が沢山ありますので、生徒たちは毎日のレッスンで学んだことをじっくり考え直して、思う存分、勉強することができます。

浅間山や八ヶ岳を眺めながら育った私にとって、奥志賀という場所でこのような素晴らしい勉強会ができるのは、とても嬉しいことです。このような環境を準備して頂いていることを、OMFの皆様には感謝しています。

2022_Lied Duo Recital in Okushiga_R287688_sc.jpg写真は全て2022年の「OMF室内楽勉強会」の模様より

───リートを「声楽」のレッスンではなく「デュオ」として教えることの意味、意義について、改めて教えていただけますか。

「デュオ」というのはただの歌い手と伴奏、という関係性ではないんですね。お互いの息が合うかどうか、そういう相性が、すごく大事だと思うんです。
舞台の上で一緒に歩くことができるか、話し合いができる関係なのかどうか。「話し合い」といっても、「これをこう弾いてくれ」と言葉で頼むということではなくて、お互いが感じていることを音に出せば、パートナーもそれに応えて音色が変わる。そういうことができる関係性だと良いですよね。歌い手とピアニストがそれぞれ、詩人や作曲家が曲に何を書いたのか理解した上で演奏するということが、とても重要です。

私自身はドイツに留学してからハルトムート・ヘルとリートに取り組んできたのですが、教える、レッスンすることについても声楽とピアノの「デュオ」に対してするということにこだわってきました。「リート」「歌曲」というのは、普通は、ピアノの先生が教えているもので、私たちのようにピアノと歌の先生が一緒に教えることは大変珍しいことなんですね。「リートデュオ」という言葉も、実は、私たちがつくったんですよ。

2022_Lied Duo Recital in Okushiga_R288503_sc.jpg

───オーディションで「デュオを組んでどのくらい活動していますか」と、よく質問しておられましたね。

2人で舞台に入ってくる時の空気感から、その関係性が分かることも多いんです。ですからデュオのレッスンでは、袖から舞台へどうやって2人で上がってくるのか、その雰囲気づくりについてお話しすることもあります。

───デュオが息の合った演奏をするために、具体的にどのようなレッスンをされているのか教えていただくことはできますか。

そうですね、例えば……ピアニストの前奏から始まり、歌が入ってきて、後奏があるという曲があったとして、この全ての流れを、ピアニストと歌い手に「一緒に口ずさむ」ということをして貰ったりしています。これをやると、すごく“合ってくる”んですね。

2022_Lied Duo Recital in Okushiga_R287159_sc.jpg

───奥志賀の勉強会では、一般的にイメージされる“音楽のレッスン”だけでないレッスンもされていると伺っています。その一端を、ここでお話しいただけますか。

歌い手には「曲の中の主人公になる」ということの重要性を常々お伝えしていますが、これがなかなか難しいんですね。歌の中の人物がどのような人間で、どの時代の人間か、何をどう感じているのか──シチュエーションによって違いますから、同じ歌詞でも常に違う捉え方が必要です。それをいかに具体的に考えられるようになるかが重要です。

例えばシューベルト作曲の「盲目の少年」〈Der blinde Knabe〉という歌曲があります。“彼”は生まれた時から盲目なので、目に見えるものを“知らない”のですね。“彼”の感覚を知るために、目を閉じて歌ってもらうということもしています。私たちが普段“見えてしまっている”ものではなく、他の感覚や感触に神経を研ぎ澄ませて欲しいからです。

同じ詩でもひとりひとりの作曲家の持つエネルギーによって全く違いますよね。音と音、言葉と言葉の時間の流れがそれぞれ違いますから。私たちは第三者として、作曲家の心を通してその詩に行き着くのです。

なんでもない日常生活が歌と音楽に繋がっていて、台所に立っている時、階段を登る時、風が吹いてきた時、どう感じて、自分がどのような姿なのか、自分に何が足りないのかを理解し、把握して、実際に音楽をする時には自然にその音楽のままになれるようにすることを教えています。

2022_Lied Duo Recital in Okushiga_R287337_sc.jpg

───白井先生は世界中でマスタークラスをお持ちです。「教える」ということについてどのような思いがおありでしょうか。

レッスンというのは、人間と人間との出会いですよね。本当に色々な人間がいて、得意なことも苦手なことも人それぞれ。そして、レッスンを経て、どんどん変わっていってくれるのが、すごく楽しいし、面白いんです。講習会が終わった後にも「またいつか聴いてみたい」と思うような変化をする方が沢山いるんですよ。

その人に合っている曲が何かというのも、実は本当に人それぞれなんです。「シューマンが歌いたい」と言って私のところにレッスンに来て、でも凄く苦労していた人が、モダンな作品を歌わせたら誰よりも上手で得意だった、ということも実際にあるんですよね。今回の受講生からも希望曲を出して貰っていて、好きな曲を歌って貰えればいいと思っているんですが、レッスンの中で声を聞いていくことで、色々な提案ができるんじゃないかと思っています。

皆さん、だんだん良くなるのではなく、停滞していて、ある時突然、良くなるんです。今回の勉強会でも、彼らが“飛ぶ”きっかけを作ってあげられたら、と思っています。

─── 今回の勉強会は、コロナ禍を経て数年ぶりのオーディション開催となり、国内外から多くの応募がありました。最後に、受講生へメッセージをお願いします。

勉強会でのレッスンは、生徒たちに常に解放しています。ですから、自由にお互いのレッスンを聴くということを、是非して欲しいですね。人の演奏を聴くというのは、すごく大事なこと。もし「すごく素敵だわ!」って思ったら、「どうやったらできるの?」って聞いてみたらいいと思うの。全く自分とは違うな、という人のレッスンもすごく参考になるはずです。もしかしたら、自分が歌っている時よりも勉強になるかもしれないですよ。

この数年のコロナ禍では、音楽の活動がいろいろ思うように行かない人も多かったと思います。でも私は学生たちに「立ち止まって考える時間を貰ったと考えなさい」と言っていたんです。そういう時間は、これから伸びやかに飛び立てるチャンス、そのためにエネルギーを蓄えるチャンスです。この勉強会も同じで、生徒たちには自分のことをじっくり振り返る時間をつくって欲しいですね。

2022_Lied Duo Recital at Agata no Mori_Z7D6614_sc.jpg

インタビュー収録:2023年6月
聞き手・文:かのうよしこ

関連公演

OMF室内楽勉強会 ~リートデュオ・リサイタル~

2023年8月19日(土)松本市音楽文化ホール(ザ・ハーモニーホール)

リートデュオ・リサイタル(奥志賀高原ホテル 森の音楽堂)

2023年8月17日(木)奥志賀高原ホテル 森の音楽堂

オーケストラ コンサート<Aプログラム><Bプログラム> SKOメンバーリスト発表!

2023セイジ・オザワ 松本フェスティバル オーケストラ コンサートAプログラム><Bプログラム>に出演する、サイトウ・キネン・オーケストラ メンバーリストを各公演ページに掲載しました。
今年も音楽界の第一線を走る奏者たちが、松本でしか聴けない音色を響かせます。

オーケストラ コンサート Aプログラム SKOメンバーリスト
オーケストラ コンサート Bプログラム SKOメンバーリスト

《メディア情報》「モーストリー・クラシック」9月号 記事掲載!

7月20日発売「モーストリー・クラシック」9月号 特集”探る 宗教音楽”にて、2023OMFでサイトウ・キネン・オーケストラとプーランクの《スターバト・マーテル》を演奏するステファン・ドゥネーヴのインタビューを掲載いただきました。

モーストリー・クラシック 9月号:特集”探る 宗教音楽”

ドゥネーヴが語る
プーランクの《スターバト・マーテル》

ぜひお読みください!

《メディア情報》FM長野「clap!」5週連続でOMFコーナー放送!

FM長野(79.7MHz)で放送中の「clap!」で、5週連続にわたりセイジ・オザワ 松本フェスティバル特別コーナーが放送されます!
毎週金曜日の朝7時30分~10時49分に放送中のこちらの番組。今年のOMFに出演いただく様々な音楽家が週替わりで登場します。パーソナリティの高寺直美さんとどんなトークが飛び出すのか、ぜひ放送をお楽しみに!
radikoプレミアム会員の方は長野県のみならず、全国でもお聴きいただけます!

「clap!」公式サイトはこちら
「radiko」


wk1: 7月21日(金) 朝9時4分ごろ~:依田真宣さん(オーケストラ コンサートAプログラムBプログラムについて)

wk2: 7月28日(金)朝9時4分ごろ~:中川郁文さん(OMFオペラについて)

wk3: 8月4日(金)朝9時4分ごろ~:林七奈さん(オーケストラ コンサートAプログラムについて)

wk4: 8月11日(金・祝)朝9時4分ごろ:原田 光さん(OMF室内楽勉強会〜リートデュオ・リサイタル〜について)

wk5: 8月18日(金)朝9時4分ごろ~:宮田 大さん(オーケストラ コンサートAプログラムについて)

《メディア情報》「ぶらあぼ」8月号 記事掲載!

7月18日発行「ぶらあぼ」8月号に、2023OMFでサイトウ・キネン・オーケストラを指揮するステファン・ドゥネーヴのインタビューや、今年の見どころ・聴きどころをご紹介いただいています。

ぶらあぼ 8月号
(ぶらあぼはWEB版でもお読みいただけます!)

ぜひお読みください!

松本駅MIDORI & 八十二銀行ほかにてフェスティバル展開催中!

松本駅直結のショッピングビルMIDORI松本と、松本市 大手にある八十二銀行ウインドギャラリー、松本市立博物館にて、フェスティバル展(写真展)が開催中です。フェスティバル来場の際はぜひご覧ください。フェスティバル期間中には、キッセイ文化ホールでも展示いたします。


フェスティバル展

八十二銀行松本営業部ウインドギャラリー、松本市立博物館
7月14日(金)~9月8日(金)

MIDORI 松本
7月14日(金)~9月9日(土)
営業時間・休館日はMIDORIの営業時間によります。

オフィシャルカメラマン大窪道治氏、山田毅氏が撮影した2022OMFの写真をパネル展示します。

2023OMF_DSC2767.JPG

2023OMF_DSC2886.JPG

《メディア情報》7月21日 NHK FM「ベスト オブ クラシック」にて2022OMF オーケストラ コンサート再放送

7月21日(金)1930分~ NHK FM「ベスト オブ クラシック」にて、昨年826日にキッセイ文化ホールで開催したシャルル・デュトワ指揮、サイトウ・キネン・オーケストラ演奏の「オーケストラ コンサート」が再放送されます。ぜひお聴きください!

『ベスト オブ クラシック』
7月21日(金)1930分~
NHKFM
にて放送

2022セイジ・オザワ 松本フェスティバル
オーケストラ コンサート

【曲目】
武満徹:セレモニアル - An Autumn Ode -
ドビュッシー:管弦楽のための「映像」
ストラヴィンスキー:春の祭典

【演奏】
指揮:シャルル・デュトワ
笙:宮田 まゆみ(セレモニアル)
管弦楽:サイトウ・キネン・オーケストラ

番組公式ウェブサイトはこちら

===
「ベストオブクラシック」は放送後から1週間、何度でもお聴きになれます。
らじるらじる のサイトやアプリからお楽しみください。

※やむをえず番組内容に変更が生じる場合がございます。あらかじめご了承ください。

ステファン・ドゥネーヴ(指揮)インタビュー【後編】

2023セイジ・オザワ 松本フェスティバル(OMF)でサイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)の指揮を務めるフランスの気鋭ステファン・ドゥネーヴ。2013年のラヴェルの《スペインの時》でフェスティバル初出演したドゥネーブは、2020年のOMFに出演予定でしたが、同公演は新型コロナウイルスの影響で中止。満を持してのOMF再出演となります。
フェスティバル開幕を前に、2023年6月、香港滞在中のマエストロにリモートで今回のプログラムから、小澤征爾総監督との出会いやジョン・ウィリアムズの音楽についてお話を伺いました。前編・後編の2回に分けてお届けします。
インタビュー【前編】

05_StéphaneDenève.jpeg
ジョン・ウィリアムズ氏と

───ドゥネーヴさんはジョン・ウィリアムズ氏の信頼も厚く、今回ウィリアムズ氏の来日決定のある意味では立役者と伺いました。
小澤征爾総監督がウィーン国立歌劇場音楽監督時代(2002-2010)から、ウィリアムズ氏には「ぜひウィーンや松本に来てほしい」と熱望していたけれど、松本に来ることはなかなか実現には至っていませんでした。そんな折に、昨年6月に来日したドゥネーヴさんが、SKO事務局からウィリアムズ氏に2023年松本でSKOを指揮してもらえないかとアプローチしているという話を聞き、その2週間後にワシントンでウィリアムズ氏の90歳を祝うガラ・コンサートを指揮するという偶然が重なったそうですね。ドゥネーヴさんがウィリアムズ氏にOMFや松本の良さをアピールし、また来日の際はサポートすると後押ししてくださったと聞いています。

誰もが賞賛する二人をまた一緒に見ることができるのは、日本の聴衆にとって素晴らしいことです。私にとっても、それが現実となるのは、夢のようなことです。この音楽の巨人2人を結びつけるお手伝いができるわけですから。

───ドゥネーヴさんからみて、ウィリアムズ氏はどのような作曲家ですか? 作品の魅力は?

11歳で映画「E.T」を見た時、初めて映画館の中で泣きました。私がこれほど感動したのは、物語の素晴らしさだけでなく、その感動が音楽によって表現されていたからです。
全ての若者が「インディ・ジョーンズ」などに感激していた時代でしたが(もちろん私も大好きでしたが)、のちに私はジョンの演奏会用の作品を発見しました。「ヴァイオリン協奏曲」「チューバ協奏曲」「チェロ協奏曲」等々。彼は演奏会用の素晴らしい曲をたくさん書いていたのです。特に素晴らしいのは「Tributes! (for Seiji!)」。この作品を私はフィラデルフィア管とともに演奏しました。つまり私は、ジョン・ウィリアムズの映画音楽ばかりでなく、演奏会用の作品も大好きだったのですよ。

最初にジョンと会ったのは、2007年ロサンゼルスでした。私がロサンゼルスのオーケストラを指揮している一週間の公演期間のちょうど真ん中に、彼がガラ・コンサートを指揮したのです。彼と初めて会って、ほぼ同時に友人となりました。なぜかわかりませんが、私たちはすぐに楽々と自由に話ができて、二人の間に素晴らしいエネルギーが流れるのを感じたのです。以降、頻繁にコンサートで会いましたし、タングルウッドでは演奏会を一緒に分担することも。
とても控えめで、小澤さんと同様に若い音楽家たちの教育活動に熱心で、生涯ずっと支援しようとしています。昨年のワシントンでの90歳記念のガラ・コンサートの指揮を提案してくださるなど、まるで心の父とも言えます。

───オーケストラ コンサート<Bプログラム>で指揮する作品はどのように選んだのですか?

私はジョンに全部の演奏会を指揮してほしいと思っていたので、彼に尋ねたのです「どの曲を私に指揮してほしいか」と。ですので、曲を選んだのはジョンです。彼は私のことをよく知っていますし、私が何を好きなのかも。
「E.T」の大部分を私が指揮しますが、これは私にとっても特別です。先ほど申し上げた通り、私がジョン・ウィリアムズを知った最初の曲ですから。今回この音楽を指揮することができ、とても幸せです。

06_StéphaneDenève.jpeg

───災害、疫病、戦争など、私たちを取り巻く社会状況は混沌としています。
その中で「なぜ音楽が必要なのか」という問いについてどのようにお考えですか?

ご質問ありがとうございます。私にとってその答えはとてもシンプルです。なぜなら、このセイジ・オザワ 松本フェスティバルという場で、音楽によって人々を集めて、言葉なしで伝えようとしているからです。みんなが集まり、一緒に伝えようとする感情こそ、世界でもっとも貴重なものだと思います。
オーケストラがいて、音響機器ではなくアコースティックに聴衆へ(その感情を)送りだすのです。シンプルな振動に過ぎないのですが、一緒に耳を傾け、音楽への愛、感情を一緒に分かち合うのです。
私たちは画面を通してでもなく、電話で話しているのでもありません。それは、現代世界でとてもユニークなことであり、信じられないほど純粋なこと。みんなが一緒になって、音楽的な感情を分かち合う─それは私にとって何か未来への希望のようなものです。戦争や緊張関係など、世界的な問題への解毒剤として。音楽は、共通の愛によって人々を結びつけます。だからこそ、子どもたちに音楽をするよう手助けをする必要が絶対にあると思います。学校で楽器を学ぶことは、人生を学ぶことでもあるのです。この学校によって人間がそれぞれ違うこと、話す言語が異なること、肌の色が違うことを学ぶことができます。そうした人間が一緒になって、アンサンブルの美しさを創り出します。この美しさほど素晴らしいものはありません。

───松本(都市)の印象について一言お願いします。

もともと山が好きですし、松本の街はエキゾティックで豊かな面があって、とても魅力的だと思います。小さな路があちこちにあり、自転車で走り回ることができます。道に迷ったりすることがありますがそれも好きですし、お城[松本城]はもちろん素晴らしいです。

もう一つ印象的なのは、蝉の声です。とても強くて…。森が、私が知っている木々とはまったく違っていたのも記憶に残っています。日本料理も大好きですし、松本では、時に洗練されたレストランで、時にシンプルなレストランで、美味しい夕食をいただきました。みんなとてもフレンドリーでした。ですので、また松本を訪れることができ嬉しいです!

インタビュー収録:2023年6月
聞き手:OMF広報
写真提供:ステファン・ドゥネーヴ
Photos courtesy of Mo. Stéphane Denève

関連公演

オーケストラ コンサート Aプログラム

2023年8月25日(金)、27日(日) キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)
演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮:ステファン・ドゥネーヴ

オーケストラ コンサート Bプログラム

2023年9月2日(土) キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)
演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮:ジョン・ウィリアムズ、ステファン・ドゥネーヴ